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2012年9月28日金曜日

新たに秀逸星図アプリ

先日紹介したばかりの星図系アプリですが、新たに優秀なアプリを発見したので紹介しておきます。

その名は「天文学 3D」...?
iTS上ではそのように表記されているのですが、ダウンロードすると「アストロ 3D」というアプリ名に変貌してしまうのでご注意を。因みに英語名は「StarMap 3D」だそうです。
とりあえずこちらは9/28現在無料提供中ですので、興味のある方はお早めに!!

このアプリには強化バージョンの「天文学 3D+」という上位アプリも存在するのですが、簡易版がかなり快適動作で使い勝手も良好と言うことで早速DLしてみましたので、こちらを中心に紹介してみます。

表示はスタンダードな部類。+では星座絵表示も可能。

まず使ってみた感じですが、とにかく星図の表示動作がすこぶる快適で、ジャイロの狂いもなくグリグリ動いてくれますし、また起動もかなり速いので現場での即戦力としてかなり重宝しそうな一本。
機能面でも星図として主立ったものは網羅しており、もちろん全方向表示にも対応。
天文学 3D+」は情報量もかなり豊富で、人工衛星の表示機能こそないのですが、検索によって位置を確認(星図上に矢印と赤いマークで表示)することは可能で、また視認チャンスを確認出来る点が目を引くところ。
一際大きく明るいISS(国際宇宙ステーション)などは写真撮りにも人気ですが、いつ頃どの方向に現れるかが確認出来るのはありがたい機能です。

軌道や詳細表示と共に、視認チャンスも確認可能!
ボタンをタッチすると上空通過リストが表示。ベスト条件を★で表示。
更にありがたいアラーム機能を装備。15分前、1時間前で設定可能。

難点を上げれば一点だけ、上下のツールバーが結構太めで表示を消せないので、特に横表示ではかなり使いにくい感じ。表示領域は狭いですが、基本的に立てて使うのが良さそうです。


先日紹介した「Star Walk - 5つ星の天体観測ガイド」もかなり優秀な星図アプリですが、間違いなくこれと双璧をなす、或いは凌駕するレベルとも言える秀逸アプリです。
強いて使い方を厳選するとすれば、日常的に閲覧を楽しむなら「Star Walk」、星空観望や撮影現場での即戦力として「天文学 3D+」を活用するというのがベストだと思います。

2012年9月14日金曜日

あえて、コンデジで星空を撮ってみる。

先日、Nikon 1でもまずまずの星空写真が出来ることを検証してみましたが、今度は更に敷居を高め、一般的な1/2.3型サイズのイメージセンサーを搭載したコンデジで星空の写真に挑戦!?
というか、ハナからろくな写真が撮れるとは思っていないので、いかに自力処理でキレイに仕上げるか?って話になるでしょう。


今回使用したのは、先日安価で入手したパナのLUMIX FZ150。いわゆるネオ一眼ってヤツです。
25mm相当/F2.8から600mm相当/F5.2のレンズを搭載しているので、広角と望遠と両方とも試してみました。
因みに、この機種も一応Panasonicさんお得意の「星空モード」なる機能も搭載しますが、最大60秒露光出来るのは良いものの低感度固定でその辺弄れないのが頭の痛いところで、このモードを使ってもせいぜい星座が認識できる程度で、到底まともには星空は撮れません。

そんなわけで今回は、当然ながらMモードで限界シャッター時間の15秒露光で挑戦です。
しかし流石に15秒では厳しいので、色落ち覚悟もISO3200(MAX)まで引き上げて撮影しました。
当然ながらRAWで記録しましたが、因みにこのRAW(各社各々のフォーマットがあります)というのが撮影したままの生データです。JPEGは大方必要な情報がそぎ落とされてしまっているうえに色深度が浅く、調整範囲が狭いので編集には向きません。


前置きが長くなりましたが、まずは今回の撮影でヴィーナスエンジン(パナの画像処理エンジン)が描き出したJPEG画像をご覧下さい。

24mm相当/F2.8/ISO3200/固定15秒露光のおうし座、オリオン座付近
星景はまぁこんなもんだろうという感じですが、しかし見事なまでに色素が抜かれまくってますねぇ...夜空が真っ黒というのも変に不気味です。
高感度なだけにかなりざらついた写真にはなってますが、ほとんど星を捕らえられない「星空モード」より断然マシです。

600mm相当/F5.2/ISO3200/追尾15秒露光のM42、43付近
F5.2で15秒では下手すりゃ星像しか写らないかなぁ?なんて思ってたら、解像度こそ甘く星像もかなり大玉に写ってますが、流石に明るいオリオン大星雲、案外明瞭に写るもんです。


さてこれからが本題ですが、これらを複数枚撮ったRAW画像をコンポジット(合成)という手法でもっと見栄えの良い写真造りに挑戦です!!
コンポジットすることの利点はまず、複数に渡って同様の発色がある部分は強調される反面で、ノイズや発色の曖昧な部分が周囲に馴染むので全体的により自然な発色、グラデーションが得られることに尽きます。
この手法にもいくつかあるのですが、ここではやはり少しでも多くの星像をしっかり浮きだたせたいので、基本手法の一つ「比較明合成」で複数画像の明るい部分を残しながら重ねていく方法を取ってみました。

まず星景の方からですが、色情報がかなり乏しそうな雰囲気だったので思い切って10枚重ねてみました。
これは固定撮影だったので、画像を重ねる前に配置をしっかり直さなくてはなりません。
Photoshopにはこれを自動的にこなしてくれる機能があるのですが、これが意外に曲者で、なかなか意図通りに合わせてくれない厄介者なのですよ。
なもんで結局力業で、1枚1枚地道に画像を合わせ込みましたよ!!流石に10枚は疲れました。。。

因みに自力でやる方法ですが、元画像の上に載せた画像を「差の絶対値」や「減算」とかにして、自由変形で四隅をつまんで画像を歪ませて合わせていきます。
この時、下地の背景画像をサイズ変更で多少大きくしておくとアンカーポイントが画面からはみ出ることなくつまみやすいです。
あとは根気との勝負ですが、四隅を少しずつずらして確認しながら、全体像がしっかり重なっておおよそ真っ黒い画像になればOKです。

そうやって重ねていき、最終的に色調整したものがこちらです。
Photoshopで10枚比較明合成。色味調整したもの。露光合計150秒相当

多少は夜空っぽくなったでしょうか。比較明合成なのでシルエットが溶け込んじゃってますが、視認できる星も大分増えました。
枚数が多いので、コンポジットの利点を考えてノイズ処理は出来るだけほどほどに抑えたのですが、なかなか良い発色は得られませんね...
それでもわずかにオリオン座周辺の星雲が見えそうな雰囲気は出てきたかなぁ?ただの色むらかもだけど。


次にオリオン大星雲ですが、こちらも比較明合成です。
同じくPhotoshopで6枚比較明合成&色味調整後。露光合計90秒相当

元々色がハッキリ出ているせいか、意外とイイ感じッスね。
M42の星雲の中心部分なんか、JPEGでは周囲と同化して超巨星になってしまっていたトラペジウムも輪郭が見えてきたし(ホントは複数の星の集合体ですが)、全体的にも星雲らしい煙っぽさをちゃんと醸してます。
もうちょっと頑張れば左上のNGC1973散光星雲も浮かんできそうですね。
こんなに発色が良いなら、もしかしたらばら星雲あたりも写るのかなぁ?
600mm相当でF2.8実現のFZ200なら余裕なんだろうなぁ...


とまぁ手間暇を惜しまなければ、例えコンデジでもそこそこには星空の写真もイケそう?という感じですね。
ただし、RAWで保存できることが必須条件にはなるでしょうけど。

因みに、一般的にJPEGでしか保存出来ないデジカメが多いのですが、JPEGはカメラ内蔵の画像処理エンジンを通して整えられた圧縮画像で、決して撮ったままの画像ではないんですよね。
その辺考えると、レンズがどうだのセンサーがどうだとかって半ばどうでもいいような話で、結果が良ければ全て良しってことになっちゃうんじゃないか?なんて気もします。
ついでの話をすれば、RAW画像を自力処理して美しく加工された写真が邪道のようにも思われがちですが、画像処理エンジンだろうが元を辿れば人為的な処理プログラムに違いないし、如何ほどのアルゴリズムで動作しているのか知りませんが、機械的な判断に任せて処理をすれば最適なのか?という疑問も当然湧くわけで、それならむしろ自力で手間暇かけて、より美しく狙い通りに仕上げるべきなのでは?とも思えてきますけどね。

やはり人間画像処理エンジン、最強です!!w

2012年9月5日水曜日

日本語対応の定番星図アプリ3本

実は以前勤めていた会社がモバイル系でして、まだジャイロやコンパスなんてものが端末に搭載されるなんて思っても見なかった時代でしたが、その頃、個人的にも欲しいと思ったもので、星図モバイルアプリなんか作れば凄く実用的だし売れるんじゃない?なんて話をしてたもんですが、今や秀逸なアプリが登場して便利になったものです。

そんなわけで今回は、星空撮影のお供に打って付けの実用的な星図アプリの紹介です。
なお、レビュー内容に関してはiPhone 4上でのレポートなので悪しからず。


Star Walk - 5つ星の天体観測ガイド
表示はかなり派手めでリアルとは言えませんが、眺めていても見応えがあって楽しい。

機能多彩な完成度の高い星図アプリで、少々派手すぎると思えるほど鮮やかな星図(もちろんコンパス/ジャイロで方向を示す。当アプリでは"Star Spotter"と称してます。)と共に、「歴」(天体現象カレンダー/英語のみ)、「スカイライブ」(太陽、月、惑星の出没時間表)、「ギャラリー」(豊富な天体写真集) などをメニューに搭載。
星図には人工衛星の表示が出来るのも独特。
検索機能も充実しており、天体や星座はもちろん、人工衛星までも検索表示が可能で、現在上空に現れている天体名以外は暗転表示するといった気の利いた部分もあります。
暗所でも目に優しい赤色表示も当然可能です。

眺めて楽しむ部分でも充実しており、時間を進めたり戻したり、速度の設定にも自由度が高いのでめまぐるしく変化させることも感覚的操作で容易に可能。また可視光以外の様々なスペクトル表示が出来る点もスゴイです。
可視光スペクトルの他、ガンマ線、X線、Ha線、赤外線、マイクロ波、電波を選べる。

動作もかなりなめらかでストレスを感じませんし、Star Spotter状態では手を離していてもモニターオフしないのもありがたい部分。最近のアップデートで全方向表示に対応したことで、もはや文句の付け所はおおよそ皆無です。

とりあえず天体好きのiPhone/iPadユーザーなら必須と言える定番逸品アプリなので、興味のある方は何はともあれこの一本、是非とも使ってみて下さい。

Star Walk - 5つ星の天体観測ガイド(250円)



iステラ
星像は強調されてますが、背景の天の川は目視イメージに近いほんのりとした表示です。

国内の天文ソフト有名メーカーのアプリなので素人でも安心して使えるでしょう。
独自機能には少々乏しく、操作性や動作についてもStar Walkに少々劣る印象はありますが、星図は十分な性能を満たしており、また表示設定がかなり強力で、天体の名称・記号、星座線や絵、高度、赤経緯線などのON/OFFをかなり細かく設定出来、また地上風景を変更したり、星のまたたきや大気減光まで表現表示可能です。
各天体の情報画面では運動サイクルをグラフ表示してくれる点も独特。
ただ他と比べて価格が高めなので、もっともっと機能面でも頑張ってもらいたいところではありますね。

iステラ for iPhone(800円)
iステラ HD for iPad(800円)



星座表
写真に撮った感じの天の川イメージ。星も過剰に強調されていない点はリアルに近い。

星図表示性能としては申し分ないレベルで、特記機能としては天体の詳細表示でリアルタイムで座標が変わる点と、Star Walk同様に全方向表示に対応している点。
この手のアプリでは珍しくiOS以外の複数プラットフォームでも提供されています。
気になる点は起動がかなり遅く動作もやや緩慢で、ピンチイン・アウトの反応も鈍いので、その辺の改善は進めてもらいたいところ。

因みにAndroidでは、この他にも無料のスカイマップなる日本語対応星図アプリもあるようですが、見栄えの良さで言えば明らかにこちらが上。価格もお手頃なのでとりあえず使ってみるのも良いと思います。
価格を考えれば決して悪いアプリではないです。

星座表 for iOS(250円)
星座表(その他の端末)(99円〜)



【番外編】

日本語に非対応の星図アプリも多いのですが、中でもStarTracker for iPhone 4Sというアプリは一時無料提供されたおかげか国内でも評判が良いようです。サンプル画像を見ても見栄えは良さそうな印象です。
旧機種でも使えるStarTrackerというものもあるようですが、こちらはAppStoreでも現状無評価の状態のようで。。。
どちらも使ってみていないのでどのようなものかは分かり兼ねますが、一応触れておきます。

2012年9月4日火曜日

J1で天体撮影!?

AF機能が進化した(程度のw)Nikon 1 J2発売が9/6に迫ってますが、ここであえてJ1の話。
天体用途では厳しいのか?と思っていたNikon 1でしたが、ちょっと検証してみたのでレポートします。

ただまぁ専用レンズ以外の使用では不都合の多いちょっと残念なカメラであることは以前もお伝えしましたが、他マウントの非接点レンズでは露出計が動かないうえにフォーカスのアシスト機能なども皆無のために、結局実際に撮ってみなけりゃ明るさもピントもどうなるかよく分からないってのがネックなんですよね...
せめて、フォーカス合わせのためにもズーム表示くらいは出来るようにしてもらいたいものですが。。。
Nikonさん、何とかしてもらえないでしょうか?

ま、その辺はちょっと我慢するとして、実際にJ1が天体方面における撮影でどれだけ使えるのか、いろいろと試してみました。

幸いにも、少々一癖あるもののインターバル撮影機能が搭載されておりまして、それを使って撮影したペルセウス座流星群の火球写真をすでに先日お見せしましたが、標準ズームレンズでもあれくらいの写真(色味、ノイズなどサクッと処理してますが)は撮れることは分かりました。
ただノイズの発生量がAPS-C機の比ではないほど凄まじいので、星野・星景写真を美しく撮ろうという希望はほどほどに抑えておいた方がイイです。

ダーク画像(もちろんノイズ低減なし)を自前のAPS-C機と比較するとこんな感じです。
ISO1600/120秒露光でのノイズ発生量(左上隅500×500の切り抜き画像)
等倍拡大するまでもなく一目瞭然。フォーサーズでも酷いと言われるのに、1インチセンサーなんてやっぱしこんなもんかって感じですね。
あまり高感度で長時間露光しなければ、ノイズ低減機能やダーク減算処理でおおよそ目立たなくはさせられますが、事実としてこれだけのピクセルが滅されてしまうと考えると...

にしても低ノイズで定評のあったD40は流石にプチプチノイズ少ないなぁ...もうちょっと開けると左上隅付近にドバッとヒートノイズが出てくるんですが。
上の比較を見てもそうですが、ここ近年のデジカメは単純に画素密度(D40<D90<NEX-5)に比例してノイズも増える傾向があるので、星撮り屋にとってはあんまし高画素化ってのもありがた迷惑なところもあるのですが、、、最近の高画素機種はどうなんでしょうね?


しかし、星空の写真なんてのは処理の仕方でどうにかなるものなんで、これでも全く使えないと言うほどではないです。
ただまぁノイズ処理は強めにかけないとどうしようもないので、多少のっぺり感が出てしまうのですが、とは言え↓この程度の写真は作れるんで十分と言えば十分か?
Nikon J1で、朝方の東の空(10mm/F3.5/ISO1600/120秒)

とまぁ長秒露光にはあまり使いたいとは思えないNikon 1なのですが、明るい被写体が相手ならそんな懸念も無用なわけです。

ということで、お次は煌々と輝く月の撮影で比較してみました。


先日、3年ほどに一度というブルームーン(と言っても9月1日になっちゃってましたがw)を、同じ鏡筒(1000mm/F5)を使ってNEX-5とJ1とで撮影したのがこれです。
左がJ1、右がNEX-5の等倍比画像

1000mmは長すぎて、やはりJ1ではちょっと収まりきれませんでした。。
↑の写真でも写りそのものの繊細さの違いがは歴然ですが、J1の方を同サイズに縮小してみたのがこれ↓

撮影サイズが1.5倍も違うので単純比較は出来ないのですが、それでもこれだけ明らかな違いが出たのはやはり、全く衝撃のない電子シャッター機構の恩恵に尽きますね。
NEXはやたらと豪快なシャッターアクションがあるのですが、いくら数百分の1のシャッター速度とは言え、望遠率が上がれば上がるほどに微小な揺れですら写りに影響してしまうわけですよ。

結局、長玉での直焦撮影なら電子シャッター式のカメラがやっぱり有利ということです。
そう考えれば月や野鳥なんかの望遠撮影には有用なカメラではあると結論づけて良いのではなかろうか?

ただやはり最初に触れたとおりで、Nikon 1には、自動露出調整とフォーカス合わせのアシスト機能がないのが痛すぎる...
この辺の機能強化だけで万民のウケもかなり上がると思うんだけどなぁ...